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Yeah!年末


「おーい、リッちゃん」
 朝一番に隊長の部屋に呼ばれ、でかけてみりゃ、唐突に上司に右手を差し出される。
「…なんスか?」
 今日は特にヘマはしていないハズだし?
 一体何だろうと、頭をめぐらせたが答えはでてこない。
 いつまでたっても切り出さないリキッドに、ハーレムの方が痺れがきれた。
「クリスマスプレゼントおくれ」
 カレンダーの日付は12/25。
 しかも赤いマジックで花までかかれてら。
「クリスマスプレゼントはサンタさんにもらってください」
 当たり障りのない返事を精一杯返したが…。
「んなこといってもオレの靴下には何もなかったからなぁ〜。 だからいい子のリキッドとこに行った分のおすそ分けくれって言ってるわけよ」
 夕べの酒がまだのこってんのか、この獅子舞!アンタ一体幾つだよっ!
口にでそうだったが、んなこと口にしたらどうなるか、この数ヶ月で身に染みているリキッドは堪えた…。
「で?プレゼントは?」
 ニコニコしながら促すハーレム。 なんでそんなときだけ子供のように無邪気な顔になんだよ、このオッサン!
  ついに観念したリキッドは…ゴゾゴゾとポケットを探り始めた。
 ごまかされる相手じゃないけど、とりあえずそれを渡して、一旦部屋に戻って…って…何かオッサンの好みのものあったかなぁ…。
 と、思いつつ差し出したのはいつも入れているキャンディー数個。
「とりあえず、今はこれっ。プレゼントはー後でまた…」
 差し出されたハーレムの手において、部屋に戻ろうとすると、ハーレムは文句も言わなかった。だが、その代わり…
「おーさすがだな。いい子のサンタさんにはご褒美をあげよう」
 なんだそりゃ…とリキッドは上司の不可解な言動にめをしばたかせる。
「いらねぇのか、リッちゃん」
 彼が引き出しから取り出したのは…
「あー!オレのボーナス!」
「ほい」
 一応それなりに厚みがあるが、油断はできない。
 あの馬の馬券かもしれないのだから。
 袋を開けてみると、一応れっきとしたお金が入っていた。
 しかも紙幣だ。ちゃんと流通している紙幣ー!
 感動に震えながら…それと共に挟まっていた紙を見たとき、リキットはまた凹んだ。
 明細に書かれている金額と比べると、今手元にある金はどう見ても同じとは思えないのだ。ソレこそ数えなくても分かるくらいに。はっきりと。
「あのぉ…隊長…」
「あー昨日の忘年会の会費、おめーの分はボーナスから天引きしてっからよ」
 昨日の忘年会兼クリスマスパーティ。
 リキッドは途中でつぶれた己を呪った。
「ともあれ、一年おつかれさんだったな」
「はあ…ありがとうございます」
「そういうことで…」
「ま、まだ何かあるんスか?」
 ハーレムは椅子の後に回った。
 そしてさっきのショックからまだ立ち直れていないリキッドに、バケツとモップ、雑巾といった掃除用具一式を突き出す。
「年末の大掃除よろしく」








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